花活けで花材を選ぶとき、私は結構迷います。
あらかじめどういうものを活けるか決まっていたり、花屋さんで目についたものを買う場合はいいのですが、問題はいけばな教室に行ってその場で花材を決めなければならない時です。
事前にこういうものを活けたいと思っていたとしても、その日に期待通りの花材が稽古場にあるとは限らないので、結局は出たとこ勝負にならざるを得ません。
さっさと決められる潔い人もいる一方、私はいつもグダグダして出だしから時間を浪費してしまいます。
だけどそんな私でも、たまに意外とあっさり決まる場合があります。
それは、ちょっと活けてみたいと思わせるような面白い花材に出会った時。
今回の花材はまさにそういう類いのものでした。
ツルソケイというモクセイ科ソケイ属の常緑低木です。
常緑なので本当は緑の葉が付いているものなのですが、今回は葉を取った状態のものが売られていました。
なお、いけばな花材でいうところのツルソケイは、ウンナンオウバイ(雲南黄梅)とかオウバイモドキと呼ばれるもののことです。
春にウメに似た花が咲くことから名前にオウバイと入っているそうですが、ウメとは関係なく、ジャスミンの仲間で美しい黄色い花を咲かせます。
そんなツルソケイ、ツルの動き具合が見事です。
写真のツルソケイは、稽古で先端を切ったり蔓を少し間引いたりした後のものなのでちょっと寂しくなっていますが、本当はもっと先の方まで長く綺麗なカーブを描いていました。
そして、このツルソケイのお相手に選んだ花材は淡いピンクのカラーでした。
カラーはスラリとした長い茎も特徴の一つです。
それとツルソケイを合わせてみるとこんな感じになりました。
全体的に横に流れるようなラインを作りました。
ツルソケイの枝とカラーの茎のカーブがちょうどハマった気がします。
ツルソケイの葉が付いていたらまた印象が変わり、それはそれで美しいはずですが、葉が無いと枝が描き出す自由奔放なラインがより強調されると思います。
今回のツルソケイのようにはっきりした個性を持つ花材はとても魅力的な存在です。
中には、自然の姿のまま何も手を加えなくても芸術的、という花材もあり、そういうものを活けた時は自分の腕が一気にレベルアップしたような気分になります。
まあ、あくまで錯覚ですが(‐∀‐;;
一方、強い個性に太刀打ちできずにお手あげ、という花材もあり、自分の未熟さにガッカリすることもしばしば。
それでもそうして様々な花材に向き合っていくうちに、少しずつでもその扱い方が分かってくるのではないかと期待しています。
実際、そうでないと困るし (^_^;)