気が向いたら花活け

ローコストで無理しない花活けを目指します

いろいろな見方があります、という話

以前いけばな教室の先生が、あることがきっかけで「素人の目線の大切さを改めて思った」という話をされました。

それは公共の場に花を活ける場合に意識すべきこととして話されたものでしたが、素人の目線ということでは私も教室で常々感じていることがありました。

私が通っているいけばな教室は、全く初めていけばなを習う人もいれば既に多くのお弟子さんをもっているベテランの方もいて、いわばプロと素人が混在しているような状態になっているのですが、そのなかでベテランの方々の作品は言うに及ばず、習い始めたばかりの人の作品からも学ばせてもらうことがよくあります。

むしろ素人に近い人にはある種意外性があって、新しい視点に出会える面白さをそこに感じています。

冒頭の先生の話は、どの世界にも見受けられる、《通好みだけどあまり一般受けしない》というパターンに通じる話だと思いますが、それはいけばなを含めた伝統芸術と呼ばれるものに共通する課題でもあるかと思っています。

いけばなの抱える問題については話が長くなるのでここではやめておきますが。


そもそも何でこんな話になったかというと、今回稽古で使った花材がもしかしたら一般受けしないものではないかと思ったからです。

その花材とは、春の花木の一つである日本原産のキブシです。

淡い黄色の花がフジの花のように垂れ下がるのが特徴で、花活け界ではよく使われるし、好んで活ける人も多い花材なのですが、果たして一般的にはどうなのか?

実をいうと私の周りの花活けをする人たちからは、これが嫌いだという声を結構聞きます。

技術的に扱いにくいとかいうことではなく、まさに見た目が嫌で、毛虫がぶら下がっているように見えるというのが理由。

初めはそんなふうに思わなかった私も、そんな話を聞くともはや毛虫にしか見えなくなってしまいました (ノω<;)

ちなみに花をアップにするとこんな感じ。

どうでしょうか?

花が咲く前のつぼみの時は黒っぽいので黒い虫、花が咲くとコロコロ太った芋虫! どっちにしても虫だった ^o^


あ~、何でこんな枝を選んじゃったんだろう、と思いながら、教室ではほとんどそのままの枝の長さで活けました。

枝もの花材は元々120~130cmはあるので(もっとあるかも?)、作品も横幅がそのくらいの大作になってしまいました。

でもそういう活け方をするのも一つの手かもしれません。
何しろ枝が長い分、毛虫が目立たなくなるんでね (^^ゞ

残念ながら家ではそんな活け方は不可能なので、いっそのこと捨てちゃおうかとも思いましたが、そこを何とか耐えて活けることにしました。

合わせたのはオレンジのモカラと黄色のブルビネラ、前回使ったオクラレルカです。

ブルビネラは、長い茎の先に星型の小さな黄色い花が穂状に咲くユリ科の植物です。

先端のグリーンの部分はつぼみで、下から順々に花が咲き上がっていきます。


キブシはなるべく毛虫を感じさせないようにと思って、四方に枝を飛ばしてみました。

中心にキブシの花を固めて入れてしまうと、虫がたかっているみたいになりそうだったので(>_<)


キブシを愛する方々もいらっしゃるのに、ネガティブな話ばかりしてしまって申し訳ありませんでした。

キブシについてはあくまで私個人の印象です^^;

どんな花材でも人によって好き嫌いはあるということで、大目に見ていただければ幸いです。